Caves of Qudプレイ日記

Caves of Qudはミュータントだらけになった遠未来を舞台にしたSFローグライクゲームだ。最近プレイしておもしろかったのだが、誰にも共有できないのでここに書くことにした。ゲームの紹介はSteamのストアページや公式ページなどを見てほしい。 Caves of Qud …

弐瓶勉を読む ~弐瓶勉から学ぶ人生論~

現代の日本に生きる私たちは、人生の意味や目的を見つけることが難しい状況に生きている。私たちは、たった一度きりのかけがえのないはずの一日一日を、だれの役に立っているのかもわからない仕事に費やしてくたくたになった後ベッドで気を失い、気が付けば…

弐瓶勉を読む ~シドニアの騎士とゾンビ化するヒロイン~

私は以前、弐瓶勉の作品に共通して登場するモチーフや展開について分析した。その中で、サブ主人公の位置にいたキャラクターがヒロインと性的に結ばれることで物語が終わるという結末が、初期の長編3作品(「BLAME!」、「ABARA」、「バイオメガ」)に共通し…

弐瓶勉を読む ~アバラのよみかた~

「アバラ」は、弐瓶勉の2作目の長編で、全2巻からなるSFバトルマンガであり、チェンソーマンの作者である藤本タツキが「チェンソーマンは「ポップなアバラ」を目指して描いている」と述べたことで興味を持った方も多いかと思う。 「チェンソーマン」300万…

弐瓶勉を読む ~天国から見たBLAME!~

弐瓶勉の「BLAME!」はマンガとしては珍しいハードSF的世界観で有名な作品であり、巨大な建造物等に代表される圧倒的なスケール感や、トーンで覆いつくされた真っ黒な画面や、想像の余地を残した意味深なストーリー等で話題になることが多い。今回は、今までB…

弐瓶勉を読む

弐瓶勉は自分が最も好きな漫画家だったのだが、シドニアの騎士ぐらいからそれまでの作品ほどはまれなくなった。自分が昔の弐瓶勉のどこが好きで、なぜ好きじゃなくなってしまったのかを考えた。 方法として、弐瓶勉の作品に共通して登場するモチーフについて…

スペクトラルウィザード 最強の魔法をめぐる冒険 模造クリスタル

スペクトラルウィザードの続編があるとはまさか思っていなかったのでほんとにうれしかった。前作はここ最近で一番好きなマンガだった。今作は前作よりももっとエンタメ感が強いように思ったが、心にささる心情描写もあって前作に負けず劣らずよかった。 今作…

深夜特急 沢木耕太郎

読んでると昔した一人旅行を思い出して懐かしくなった。これまで一人旅行したのは鎌倉、諏訪、東北の三回で、どれも1~2泊ぐらいの小規模なものだった。その中では諏訪の旅行が一番印象に残っている。電車の扉が押ボタン式なのを知らないで扉の前で待って…

幻獣辞典 ホルヘ・ルイス・ボルヘス

辞典という題名がついているものの、掲載されている幻獣は西洋系が中心だった。言語的な問題から仕方ないのか、日本の妖怪系はまったく収録されていなかった(ぬりかべとか)。収録の基準もあいまいで、カフカやC・S・ルイスの想像した動物は細かく収録され…

インド・カレー紀行 辛島昇

インド料理というとカレーぐらいしかしらないが、この本によるとカレーとはイギリスがインドを植民地支配していた時代にイギリスで生まれた料理であって、インドにはカレーという料理はなく、むしろすべてがいわゆるカレー味のスパイスの組み合わせで味付け…

ロリータ ウラジーミル・ナボコフ

ロリータは確か大学生の時に一度読んでいて、社会人になってからも読まないものの本棚に並べていたが、なぜかもう一度読みたくなった。 ロリータは最初読んだときはやたらエロいなとか、衝撃的な場面があったなとかぐらいの印象しか覚えておらず、終盤は早く…

年上の人 バスティアン・ヴィヴェス

バスティアン・ヴィヴェスはポリーナを読んではまって以来全部読んでいる(ラディアン以外)。ラディアンはお母さんがエロいことぐらいしか覚えていない。 バスティアン・ヴィヴェスの描く、いろんな関係性が重なり合った人間関係が好きだ。ポリーナでは、バ…

素粒子 ミシェル・ウエルベック

ウエルベックにドはまりしている。この本もおもしろかった。でも個人的にはプラットフォームの方がよかった。素粒子は登場人物が多く、それによって登場人物当たりの描写量が少なくなってしまって、深く感情移入する前に物語が進んでいってしまった感じがあ…

物語 シンガポールの歴史 岩崎育夫

歴史系の新書だが不思議と文章に熱があってすごくおもしろかった。 シンガポールの特徴の1つは、通常とは異なる順序で国家が形成されたことだと理解した。 通常は、最初に集落があり、集落の中から長が生まれ、その長を中心に集落が発展し国家が形成されて…

ボヴァリー夫人 フローベール

ボヴァリー夫人の小説はユイスマンスのさかしまの中で褒められていたので興味をもって購入した。さかしま以外でも言及がなされていたように思う。なんでもフランス近代小説の祖と言われているらしい。 実際おもしろくて、実家に帰る前日から読み始めて3日で…

さかしま J・K・ユイスマンス

ウェルベックの服従の主人公がユイスマンスの研究者の設定で、それで気になって読んだ。1か月ぐらいかかった。 話の展開に重きが置かれておらず、主人公が部屋の中で音楽や本や香りや色などに関する趣味をひたすら披瀝していく本だった。いかにも退屈そうだ…

ロング・グッドバイ レイモンド・チャンドラー

半月ぐらいかけて読んだ。村上春樹訳で、むちゃくちゃ長いあとがきが書いてあった。村上春樹ってやっぱり文学に精通しているんだなと思った。当たり前なのだが。 主人公のマーロウが、スマートそうな名前の割には頑固だったり暴力的だったりしておもしろかっ…

ダンジョン飯 6巻 シェイプシフター考察

自分と同じ考察が見当たらなかったので書いた。表で色を付けているところが考察で、ほかは消去法で埋めた。 1.ライオスのシェイプシフター みんなのライオス像がむちゃくちゃすぎて笑える。 2.チルチャックのシェイプシフター センシはチルチャックのこ…

BLAME!劇場版 感想

BLAME!劇場版は弐瓶初期作品厨という糞せまニッチで暮らすサブカル諸氏にとってめぐみの雨であったことだろう。 私は回転する偽装端末の周りをペースを合わせて歩くシボを見たときの衝撃でいまだに動機がするし手が震えているし汁も漏れ続けている。最高だ…

『Fate / stay night』

自己を省みない人間には二種類あって、1つが幼児で、もう1つが王だ。 Fate/stay night [Realta Nua] PlayStation Vita the Best 出版社/メーカー: 角川ゲームス 発売日: 2014/09/18 メディア: Video Game この商品を含むブログ (11件) を見る 1. あらす…

『山賊ダイアリー』岡本健太郎

ダンジョン飯から飯マンガをあさってて見つけた。 山賊ダイアリー(1) (イブニングコミックス) 作者: 岡本健太郎 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2013/01/04 メディア: Kindle版 購入: 2人 クリック: 2回 この商品を含むブログ (9件) を見る 1.あらす…

『スキャナー・ダークリー』フィリップ・K・ディック

麻薬乱用は病気ではなく、ひとつの決断だ。しかも、走ってくる車の前に飛び出すような決断だ。(p.453) スキャナー・ダークリー (ハヤカワ文庫SF) 作者: フィリップ・K.ディック,Philip K. Dick,浅倉久志 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2005/11 メディ…

『カウント・ゼロ』ウィリアム・ギブスン

「お疲れの様子ですね」 と言いながら、パコはスクリーンを畳み、電話器をバッグに戻すと、 「あの男と話したあとは、老けこんで見えますよ」 「そう……」 どうしたわけか、今、ロバーツ画廊のあのパネルが眼にうかぶ。あの、たくさんの顔。『死者たちの名の…

『三好さんとこの日曜日』三好銀

よかった感覚だけ残っててまったく言語化できない 三好さんとこの日曜日 (Spirits neko comics) 作者: 三好銀 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 1992/12 メディア: 単行本 クリック: 5回 この商品を含むブログ (9件) を見る あらすじ 夫婦と猫一匹の何気ない…

『ローカルワンダーランド』福島聡

福島聡の新しい短編集が(2冊同時に)出た! ローカルワンダーランド 1巻 (ビームコミックス) 作者: 福島聡 出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン 発売日: 2016/04/15 メディア: コミック この商品を含むブログ (2件) を見る あらすじ SF風味のい…

『スローターハウス5』ジョージ・ロイ・ヒル(原作:カート・ヴォネガット)

カード・ヴォネガット原作の小説の映画版。 前から見たいと思っていたがDVDで安いのが出ていたので買って見た(パッケージの背表紙部分に「続・死ぬまでにこれは観ろ!」と書いてあってダサい)。 スローターハウス5(続・死ぬまでにこれは観ろ!) [DVD…

『マスタード・チョコレート』冬川智子

コミュ症が成長して他人と関わるようになってく話は泣ける。 マスタード・チョコレート 作者: 冬川智子 出版社/メーカー: イースト・プレス 発売日: 2012/04/14 メディア: コミック 購入: 3人 クリック: 35回 この商品を含むブログ (19件) を見る あらすじ …

『インターステラー』クリストファー・ノーラン

今更インターステラーを見た。そして気持ち悪い声を出してぼろぼろ泣いてしまった。 とにかく自分の琴線にふれまくる作品だった。 インターステラー [Blu-ray] 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント 発売日: 2015/11/03 メディ…

『あんずのど飴』冬川智子

仲の良かった友だち同士が、いつの間にか疎遠になっていくのは寂しいことだ。 あんずのど飴 (IKKI COMIX) 作者: 冬川智子 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2013/01/30 メディア: コミック クリック: 6回 この商品を含むブログ (6件) を見る 高校に入ってす…

『辺境で』伊図透

短編集だが同じ登場人物が出てくる話もあり、連作短編のような形になっている。収録されている話は、美大生の話、小学校の優等生の女の子が不良の男子と高オニをして遊ぶ話、ソ連で鉄道を敷く話など様々で楽しめた。 辺境で 伊図透作品集<辺境で 伊図透作品…