海外文学

幻獣辞典 ホルヘ・ルイス・ボルヘス

辞典という題名がついているものの、掲載されている幻獣は西洋系が中心だった。言語的な問題から仕方ないのか、日本の妖怪系はまったく収録されていなかった(ぬりかべとか)。収録の基準もあいまいで、カフカやC・S・ルイスの想像した動物は細かく収録され…

ロリータ ウラジーミル・ナボコフ

ロリータは確か大学生の時に一度読んでいて、社会人になってからも読まないものの本棚に並べていたが、なぜかもう一度読みたくなった。 ロリータは最初読んだときはやたらエロいなとか、衝撃的な場面があったなとかぐらいの印象しか覚えておらず、終盤は早く…

素粒子 ミシェル・ウエルベック

ウエルベックにドはまりしている。この本もおもしろかった。でも個人的にはプラットフォームの方がよかった。素粒子は登場人物が多く、それによって登場人物当たりの描写量が少なくなってしまって、深く感情移入する前に物語が進んでいってしまった感じがあ…

ボヴァリー夫人 フローベール

ボヴァリー夫人の小説はユイスマンスのさかしまの中で褒められていたので興味をもって購入した。さかしま以外でも言及がなされていたように思う。なんでもフランス近代小説の祖と言われているらしい。 実際おもしろくて、実家に帰る前日から読み始めて3日で…

さかしま J・K・ユイスマンス

ウェルベックの服従の主人公がユイスマンスの研究者の設定で、それで気になって読んだ。1か月ぐらいかかった。 話の展開に重きが置かれておらず、主人公が部屋の中で音楽や本や香りや色などに関する趣味をひたすら披瀝していく本だった。いかにも退屈そうだ…

ロング・グッドバイ レイモンド・チャンドラー

半月ぐらいかけて読んだ。村上春樹訳で、むちゃくちゃ長いあとがきが書いてあった。村上春樹ってやっぱり文学に精通しているんだなと思った。当たり前なのだが。 主人公のマーロウが、スマートそうな名前の割には頑固だったり暴力的だったりしておもしろかっ…

『居心地の悪い部屋』岸本佐知子 編訳

昔から、うっすら不安な気持ちになる小説が好きだった。読み終わったあと見知らぬ場所に放り出されて途方に暮れるような、なんだか落ち着かない、居心地の悪い気分にさせられるような、そんな小説。(編訳者あとがきp.181) 居心地の悪い部屋 (河出文庫 キ 4…