インド・カレー紀行 辛島昇

インド料理というとカレーぐらいしかしらないが、この本によるとカレーとはイギリスがインドを植民地支配していた時代にイギリスで生まれた料理であって、インドにはカレーという料理はなく、むしろすべてがいわゆるカレー味のスパイスの組み合わせで味付けされているらしい。つまりインドに行くとカレーしか食べれないということだろうか。

 

もともとは、北インド料理は遊牧民に特徴的な乳製品を中心とした料理であり、南インドがスパイスを用いた料理を作っていたが、それが時代を経るにつれて混ざり合い、現在のインド料理になっていったということだった。本ではいろいろな料理が紹介されていたが、どれも同じように見えてあんまり記憶に残らなかった。おなかを壊すのが怖いが、インドに行ったらいろいろ食べてみたい。

 

また、インドで手をつかって食事をするのは、浄・不浄の観念が関係していると知った。インドのヒンドゥー教では浄・不浄の区別が非常に重要で、動物を殺すなどの不浄に分類される仕事は社会的に低いカーストのものがしている。不浄は触れると伝染してしまうため、バラモンなどの浄の位にいる人は、不浄の人が触ったものに触れないようにしなければならないようだ。なので、不浄の人が使った食器等を使わないで済むように、皿はバナナの葉などを使い捨て、スプーンを用いず手で食べる習慣が生まれたということだった。この本とは関係ないが、インドでは家にトイレがない場合が多く、野外排泄している人口が非常に多いとされているが、これもヒンドゥーの浄・不浄を切り分ける発想が根元にあり、トイレは不浄にあたるため家から離れたところに作らなければならないとされているらしい。インドでは宗教が今なお生活に深くかかわっているのだと知った。

カラー版 インド・カレー紀行 (岩波ジュニア新書)

カラー版 インド・カレー紀行 (岩波ジュニア新書)