『LOVE理論』水野敬也

溺れる者は藁をも掴むという。

私はこのような恋愛マニュアル本に付箋を貼りながら読んでいる自分に気付いて、ああ自分は溺れかけているのだと思った。

 

LOVE理論

LOVE理論

 

 

だが読み終えてみたら異常におもしろかった。

なんかここ2年間ぐらいで一番笑った気がする。私の精神がやばいのか、本がやばいのかわからない。

 

内容

恋愛マニュアル的な話にネタを混ぜながらおもしろおかしく書いてある。

マニュアル的な話の方は、「合コンでは女の序列を見抜いて、最高位に位置する女をほめろ」(p.106)とか、なるほどと思う内容もあった。

だが本当にやばかったのはネタの方だ。

 

ネタ

そもそも語りのテンションが異常だ。

本書の一文目から、

「結論から言うと、今からお前をトム・クルーズよりモテる男に育て上げることになる。」(p.4)

で始まる。

 

著者は自身を「水野愛也」と称し、モテない読者である私たちに訓戒を垂れるような立場で書かれている。

だが偉そうに書いてあるかというとそうではなく、ところどころに自虐的な話を交えながら、うまく読者に反感を抱かせないようにしている。

お前たちは、女に酒を飲ませる方法に関しては、完全に勉強不足だ。酒のことが何も分かっとらん。ただ、俺は違うぞ。俺は早い段階からこの事実に着目し、こと酒に関しては研究に研究を重ね、業界でも屈指の「飲ませ上手」と呼ばれるまでになった。今では恋愛のほとんどを酒の力に頼っている。(p.43)


その後も、内容がネタにまみれすぎていて、自分が何を読んでいるのかわからなくなる。

「女性が”優しい”と思う男性の行動」が4ページにわたって箇条書きにされていたり、合コンでの役割が見開きで表にまとめてあったりする。

 

また、言葉遣いも巧みだ。

セックスの鉄則 その二 憑依せよ(p.179)

とか。一体これは何の本なんだ。


しかも最後に著者の感動話めいたものが書いてあって、ポエムで終わる。

 

すごい。