さかしま J・K・ユイスマンス

ウェルベック服従の主人公がユイスマンスの研究者の設定で、それで気になって読んだ。1か月ぐらいかかった。

 

話の展開に重きが置かれておらず、主人公が部屋の中で音楽や本や香りや色などに関する趣味をひたすら披瀝していく本だった。いかにも退屈そうだが、意外とすらすらと読むことができた。1ページに3つぐらい読めない単語が出てきたが、ユイスマンスの文章自体も隠語や古語がふんだんに使われていたようなので、原文の印象を表すためにわざとそうしているのかもしれない。

 

デカダンス聖典とされていたようだが、あまりその面では新鮮味を感じなかった。今ではデカダンスサブカルチャーにあふれているからだと思う。アニメの敵キャラによくいる。そういう趣味が一般的でなかった時代には珍奇なものとして映ったのだろう。あとがきに作品が発表された当時の反応が描かれているが、「こんな小説が一言でも解るぐらいなら、いっそ首を吊って死にたいものだ」といった人もいるようだ。さかしまはよくその価値を世界に広めたものだなと現代の視点からみると思える。

 

オカルティズムに興味があるのだが、どういう本を読めばいいのかわからない。澁澤龍彦が関連している本を読んでいくのがよさそうだ。ユイスマンスの他の作品も同じような主題を扱っているようなので読んでみたい。彼方は文庫でも出版されているようなので読みやすそうだ。 

さかしま (河出文庫)
さかしま (河出文庫)
 
服従 (河出文庫 ウ 6-3)
服従 (河出文庫 ウ 6-3)