SF

弐瓶勉を読む ~弐瓶勉から学ぶ人生論~

現代の日本に生きる私たちは、人生の意味や目的を見つけることが難しい状況に生きている。私たちは、たった一度きりのかけがえのないはずの一日一日を、だれの役に立っているのかもわからない仕事に費やしてくたくたになった後ベッドで気を失い、気が付けば…

弐瓶勉を読む ~シドニアの騎士とゾンビ化するヒロイン~

私は以前、弐瓶勉の作品に共通して登場するモチーフや展開について分析した。その中で、サブ主人公の位置にいたキャラクターがヒロインと性的に結ばれることで物語が終わるという結末が、初期の長編3作品(「BLAME!」、「ABARA」、「バイオメガ」)に共通し…

弐瓶勉を読む ~アバラのよみかた~

「アバラ」は、弐瓶勉の2作目の長編で、全2巻からなるSFバトルマンガであり、チェンソーマンの作者である藤本タツキが「チェンソーマンは「ポップなアバラ」を目指して描いている」と述べたことで興味を持った方も多いかと思う。 「チェンソーマン」300万…

弐瓶勉を読む ~天国から見たBLAME!~

弐瓶勉の「BLAME!」はマンガとしては珍しいハードSF的世界観で有名な作品であり、巨大な建造物等に代表される圧倒的なスケール感や、トーンで覆いつくされた真っ黒な画面や、想像の余地を残した意味深なストーリー等で話題になることが多い。今回は、今までB…

弐瓶勉を読む

弐瓶勉は自分が最も好きな漫画家だったのだが、シドニアの騎士ぐらいからそれまでの作品ほどはまれなくなった。自分が昔の弐瓶勉のどこが好きで、なぜ好きじゃなくなってしまったのかを考えた。 方法として、弐瓶勉の作品に共通して登場するモチーフについて…

BLAME!劇場版 感想

BLAME!劇場版は弐瓶初期作品厨という糞せまニッチで暮らすサブカル諸氏にとってめぐみの雨であったことだろう。 私は回転する偽装端末の周りをペースを合わせて歩くシボを見たときの衝撃でいまだに動機がするし手が震えているし汁も漏れ続けている。最高だ…

『スキャナー・ダークリー』フィリップ・K・ディック

麻薬乱用は病気ではなく、ひとつの決断だ。しかも、走ってくる車の前に飛び出すような決断だ。(p.453) スキャナー・ダークリー (ハヤカワ文庫SF) 作者: フィリップ・K.ディック,Philip K. Dick,浅倉久志 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2005/11 メディ…

『カウント・ゼロ』ウィリアム・ギブスン

「お疲れの様子ですね」 と言いながら、パコはスクリーンを畳み、電話器をバッグに戻すと、 「あの男と話したあとは、老けこんで見えますよ」 「そう……」 どうしたわけか、今、ロバーツ画廊のあのパネルが眼にうかぶ。あの、たくさんの顔。『死者たちの名の…

『スローターハウス5』ジョージ・ロイ・ヒル(原作:カート・ヴォネガット)

カード・ヴォネガット原作の小説の映画版。 前から見たいと思っていたがDVDで安いのが出ていたので買って見た(パッケージの背表紙部分に「続・死ぬまでにこれは観ろ!」と書いてあってダサい)。 スローターハウス5(続・死ぬまでにこれは観ろ!) [DVD…

『インターステラー』クリストファー・ノーラン

今更インターステラーを見た。そして気持ち悪い声を出してぼろぼろ泣いてしまった。 とにかく自分の琴線にふれまくる作品だった。 インターステラー [Blu-ray] 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント 発売日: 2015/11/03 メディ…

『高い城の男』フィリップ・K・ディック

「われわれはみんな虫けらだ。なにか恐ろしいもの、それとも神々しいものに向かってうごめいている虫けらだ。そう思わんかね?」(p.163) 高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568) 作者: フィリップ・K・ディック,土井宏明(ポジトロン),浅倉久志 出版社/メーカー:…

『流れよわが涙、と警官は言った』フィリップ・K・ディック

流れよわが涙、と警官は言った (ハヤカワ文庫SF) 作者: フィリップ・K・ディック,友枝康子 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 1989/02 メディア: 文庫 購入: 14人 クリック: 60回 この商品を含むブログ (113件) を見る 先の展開が読めなくて、次はどうなる…